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2013年度版 静岡サイエンススクールを知る

目 的

 天然資源に恵まれない日本が、豊かな社会を維持し発展させるためには、高度な科学・技術とその能力を発揮できる科学者の育成が欠かせません。静岡県を含む中部・東海地方は先進的なものづくりが盛んなど、科学・技術に関心の高い地域です。これまでにも、優れた科学者・技術者が育っていますが、科学・技術がますます重要視される時代にあって、さらに多くの優秀な人材を育てることが大きな課題でしょう。そこで、静岡大学では、未来の科学者を養成するための講座として、「地域で育む未来の科学者 - 静岡サイエンススクール -」を、2010(平成22)年度から開くことにしました。理科や数学が大好き、実験や観察がとても楽しい、将来は科学者になるのが夢、そういう意欲と才能を持つ中学生・高校生を静岡県の内外から広く受け入れ、先端的な科学プログラムを含むサイエンスに関するさまざまなプログラムを継続的に受けてもらうことで、才能を開発して、未来の有能な科学者として育ってもらうことが目的です。

概 要

 先端科学のトピックの解説をする「ジュニアサイエンスカフェ」と、実際に実験・観察をする「実験ワークショップ」の二つからなる、「ジュニアサイエンスワークショップ」が主なプログラムです。学年や発達段階にあわせて、「ジュニアサイエンスワークショップ」には、入門編(ステップ1)、発展編(ステップ2)、テーマ別研究体験編(ステップ3)の3ステップが用意してあります。学年が上がるにつれてステップ1、ステップ2、ステップ3へと上がっていく仕組みです。入門編(ステップ1)と発展編(ステップ2)では、それぞれ年間3〜5回と5〜8回、静岡大学に来校して「ジュニアサイエンスカフェ」と「実験ワークショップ」を行います。その日の内容の要約、発展的に調べたこと、疑問、感想などをレポートにまとめます。レポートは評価をつけて返却されます。優秀な受講生は表彰され、次のステップへの受講資格が与えられます。
  この他に、一流の科学者による講演会「スペシャルサイエンスレクチャー」と、大学や民間の研究所で活躍している若手研究者による「キャリアデザインワークショップ」も行います。「スペシャルサイエンスレクチャー」では、研究内容に加えて、発見や発明に至った経緯やエピソード、研究に対する姿勢、科学者になった動機、生き方などを語ってもらいます。「キャリアデザインワークショップ」では、大学や国公立の研究機関で基礎研究に携わる研究者だけでなく、民間企業で研究や開発を行っている研究者や技術者も積極的に招いて、それぞれの立場から研究現場の様子、研究者の生き甲斐などを話してもらいます。どちらも、質疑応答の時間を十分取るので、直接、話すこともできます。

 

ステップ1:2013年度の新規募集はありません

 

ステップ2:中学3年〜高校2年 20名

入校式(サイエンススペシャルレクチャーを行う)
    2013年5月26日(日) 13:00〜16:00(予定)

ワークショップ(それぞれ10:00〜16:00)

第1回:2013年6月16日(日) 深海・温泉・地下圏の極限環境微生物を診てみよう

(木村浩之 理学部・地球科学科・講師)

微生物は、人間の体内、土壌、大気、湖沼、海洋など様々な環境に生息しています。さらに、高圧の深海、高温の温泉、暗黒の地下圏といった極限環境でも高い活性を有する微生物を見ることができます。この講座では、環境微生物の培養・観察を体験してみましょう。また、極限環境微生物が持つ特殊機能の有効利用を考えてみましょう。

第2回:2013年6月30日(日) 原子の出す光の波長測定

(阪東一毅 理学部・物理学科・講師)

この講座では、前半は原子が光を出す仕組みや蛍光灯の原理などを学び、後半はグループにわかれて実際に分光器を使って、いろいろな原子の出す光を波長に分解して観察します。

第3回:2013年7月28日(日) 高等動物の体の成り立ちを調べてみよう

(小池亨 理学部・生物科学科・講師)

マウスの解剖を通じて、体を構成する器官について学びます。また、組織切片標本を顕微鏡で観察し、器官を構成する組織の成り立ちを理解します。

第4回:2013年9月8日(日) 金属化合物とクロミズム現象

(仁科直子 理学部・化学科・助教)

私たちは太陽を見てまぶしいと感じたり、お茶を飲んで暖かいと感じたり、様々な刺激を受けながら生活しています。一方で、分子の世界でも光や熱など外からの刺激に応答するものがあります。この講座では刺激に応答して色の変化が起こる「クロミズム」という現象について観察してみましょう。

第5回:2013年10月6日(日) 植物細胞を裸にして観てみよう

(木嵜暁子 理学部・生物科学科・准教授)

植物細胞は動物細胞と異なり細胞膜の外側に細胞壁を持っています。そのため、動物細胞とは異なる性質を持っています。この講座では、植物細胞から壁を取り除くとどのような細胞になるか観察してもらいます。

第6回:2013年10月27日(日) クロマトグラフィーによる混合物からの分子の分離実験

(大吉崇文 理学部・化学科・講師)

身の回りの物質は、多種多様な分子から成る混合物であり、混合物中の分子はそれぞれ化学的な性質が異なっている。そこで身の回りの混合物から分子の性質の違いを利用してクロマトグラフィーにより分子を分離してみる。クロマトグラフィーは工業的にも研究においても重要な分子の分離方法なので、そのクロマトグラフィーの原理と共に実際の実験法を学ぶ。

第7回:2013年11月24日(日) 放射線を調べてみよう

(奥野健二 理学部・放射科学研究施設・教授、大矢恭久 理学部・放射科学研究施設・准教授)

近頃よく耳にするようになった放射線。その正体は、性質は、人体に有害なの、有益なの?そんな放射線のことを学びます。午前は、放射線の講義の後、霧箱で普段は目で見えない放射線を観察します。午後は放射科学研究棟の見学をした後、放射線の性質を調べる実験をします。

サイエンススペシャルレクチャー  

2013年5月26日(日)(入校式のオープニングとして開催)

(村井久雄 静岡大学理学部・教授)

中間報告会  

2013年11月17日(日)  09:30-12:00(予定)

自然科学に関心を持ったきっかけ、これまでに受けた講座で印象に残ったこと・学んだこと、これからの抱負、ステップ3での希望、将来の夢・なりたい科学者像などを、一人3分で話をしてもらいます。

キャリアデザインワークショップ  

2013年11月17日(日) 13:00-16:00 (予定) 

テーマ別研究成果発表会  

2014年3月16日(日) 12:30-16:00(予定) 

ステップ3の受講生が発表、ステップ2の受講生は聴講

修了式

2014年3月16日(日) 16:00-17:00(予定)

 

ステップ3:高校1年〜3年 10名

入校式(サイエンススペシャルレクチャーを行う)
    2013年5月26日(日) 13:00-16:00(予定)

ワークショップ

  AコースまたはBコースからひとつ選んで行います。Aコースでは、あらかじめ決められたテーマを指導教員について研究・学習を行ないます。内容は大学の卒業研究程度で、目標は研究会や学会での発表です。Bコースでは自主研究・自主学習が中心になります。まず、テーマと計画を出してもらいます。それにふさわしい教員をこちらで選んでつけるので、その指導のもとに自主研究・自主学習を行い、適宜、大学の持っている測定機器、情報機器、資料、ソフト、書籍などを利用して高度な研究(または高度な学習)を進めます。目標は自由研究のコンクール入賞です。Aコース、Bコースとも開催日時は、入校式の日に、担当教員と受講生で相談して決めます。

 Bコースを希望した場合、テーマによってはこちらで指導教員をつけられない場合があります。もし支援を受けられない場合は、代わりにAコースのテーマを行うこともできます。そういう希望があればAコースの希望するテーマをあげてください。

 なお、Aコース、Bコースに限らず、すべての受講生には3月に成果発表会を行ってもらいます。

Aコース(テーマ別研究コース)

テーマA1:X線で見る酸化物超伝導体 

(嶋田大介 理学部・物理学科・准教授)

この講座では、同じ条件で酸化物超伝導体を作り、電気炉で焼く条件を変えていくつかの試料を作ります。それぞれの試料のX線回折実験や電気抵抗の温度変化を測定し結果の違いを比較します。

テーマA2:光物理の研究

(阪東一毅 理学部・物理学科・講師)

光に関わる物理の研究を行います。テーマとしては次の3つのうちの1つを行います。1.有機EL材料の発光メカニズムの物理的解明、2.発光物質をナノスケールにした場合に出現する新しい光物理現象の観測、3.光そのものの性質を調べる研究、です。

テーマA3:細胞がふえる機構を知る-がんとは何か?-

(丑丸敬史 理学部・生物科学科・教授)

がんは細胞分裂が止まらなくなる病気です。どのような仕組みで細胞は増殖するか、またどのようにしてがんが発生するのか。その仕組みを調べてみよう!

テーマA4:DNA の抽出どこまでできる?

(天野豊己 理学部・生物科学科・准教授)

植物からDNAを取りだしてPCRで光合成に大事な遺伝子の増幅をおこないます。全然違う種類の野草から取り出したDNAは同じ配列なのでしょうか違う配列なのでしょうか。いろいろな野草といろいろな遺伝子について比較をしてみます。

テーマA5:神経行動学入門:動物は何を感じ・何を考え・どのように動くのか?

(竹内浩昭 理学部・生物科学科・教授)

カラス,ヒヨコ,アホロートル(メキシコサンショウウオ)などを対象とした観察や実験を通じて、動物が何を感じ・何を考え・どのように動くのかを調べる神経行動学研究を体験してもらいます。

テーマA6:分裂酵母のサイクリン依存プロテインキナーゼの局在変化

(瓜谷眞裕 理学部・化学科・教授)

分裂酵母は出芽酵母と同様、酵母の一種ですが、出芽ではなく分裂で増殖する酵母です。分裂様式が高等動植物に似ているので、細胞増殖の研究によく使われています。ここでは、細胞増殖を止めて休止期に入る過程と休止期での生存維持の仕組みを研究します。サイクリン依存プロテインキナーゼ(CDK)という増殖の推進に必要なタンパク質に着目して研究を進めます。さまざまな遺伝子変異株について、蛍光顕微鏡でCDKの局在を観察します。

テーマA7:地殻変動で見る南海トラフ下の地震準備過程

(生田領野・理学部・地球科学科・助教)

カーナビや携帯電話などでおなじみのGPSですが、地球科学の分野では宇宙測地技術として地殻変動や地震の研究に用いられています。国土地理院が全国に1300点展開しているGPS地殻変動観測網(GEONET)のデータを用いて、静岡から四国沖までの南海トラフ沿いで起こっている地殻変動から、地下の様子を探ります。

 

Bコース(自主研究・自主学習コース)

 自主研究のテーマと計画をA4用紙1枚程度にまとめて提出してください。確認研究ではなく、自分のアイディアに基づくオリジナルな研究とします。実施可能な場合は、こちらで指導教員を選んで支援を行います。また、研究でなくても高度な学習(大学の教科書を使ったり、英語の原著論文を読むなど)も歓迎します。この場合も、学習したい内容と動機、決意などをA4用紙1枚程度にまとめて提出してください。

 なお、下記の内容B1〜B5については指導可能な教員をつけることができます。もちろん下記以外でも結構です。

テーマB1:

・分子原子のなりたちの理論(量子化学)について学ぶ高度な学習。

テーマB2:

・数学に関する高度な自主学習。ただし分野による。

テーマB3:

・昆虫(特に害虫)の生物学に関する自主研究。

テーマB4:

・酵母などの微生物や発酵に関する自主研究。

テーマB5:

・その他の自主研究または高度な自主学習

サイエンススペシャルレクチャー  

2013年5月26日(日)(入校式のオープニングとして開催)

(村井久雄 静岡大学理学部・教授)

中間報告会  

22013年11月17日(日)  09:30-12:00(予定)

これまでに研究したことや学習したことを、一人6分で話をしてもらいます。

キャリアデザインワークショップ  

2013年11月17日(日) 13:00-16:00 (予定) 

テーマ別研究成果発表会  

2014年3月16日(日) 12:30-16:00(予定) 

ステップ3の受講生が発表、ステップ2の受講生は聴講

修了式

2014年3月16日(日) 16:00-17:00(予定)

 

 


催しものカレンダー

この期間は一般表示期限外です。

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