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2010年度版 静岡サイエンススクールを知る

目 的

 天然資源に恵まれない日本が、豊かな社会を維持し発展させるためには、高度な科学・技術とその能力を発揮できる科学者の育成が欠かせません。静岡県を含む中部・東海地方は先進的なものづくりが盛んなど、科学・技術に関心の高い地域です。これまでにも、優れた科学者・技術者が育っていますが、科学・技術がますます重要視される時代にあって、さらに多くの優秀な人材を育てることが大きな課題でしょう。そこで、静岡大学では、未来の科学者を養成するための講座として、「地域で育む未来の科学者 - 静岡サイエンススクール -」を、今年度からを開くことにしました。理科や数学が大好き、実験や観察がとても楽しい、将来は科学者になるのが夢、そういう意欲と才能を持つ中学生・高校生を静岡県の内外から広く受け入れ、先端的な科学プログラムを含むサイエンスに関するさまざまなプログラムを継続的に受けてもらうことで、才能を開発して、未来の有能な科学者として育ってもらうことが目的です。

概 要

先端科学のトピックの解説をする「ジュニアサイエンスカフェ」と、実際に実験・観察をする「実験ワークショップ」の二つからなる、「ジュニアサイエンスワークショップ」が主なプログラムです。学年や発達段階にあわせて、「ジュニアサイエンスワークショップ」には、入門編(ステップ1)、発展編(ステップ2)、テーマ別研究体験編(ステップ3)の3ステップが用意してあります。学年が上がるにつれてステップ1、ステップ2、ステップ3へと上がっていく仕組みです。入門編(ステップ1)と発展編(ステップ2)では、それぞれ年間3~5回と5~8回、静岡大学に来校して「ジュニアサイエンスカフェ」と「実験ワークショップ」を行います。その日の内容の要約、発展的に調べたこと、疑問、感想などをレポートにまとめます。レポートは評価をつけて返却されます。優秀な受講生は表彰され、次のステップへの受講資格が与えられます。
この他に、一流の科学者による講演会「スペシャルサイエンスレクチャー」と、大学や民間の研究所で活躍している若手研究者による「キャリアデザインワークショップ」も行います。「スペシャルサイエンスレクチャー」では、研究内容に加えて、発見や発明に至った経緯やエピソード、研究に対する姿勢、科学者になった動機、生き方などを語ってもらいます。「キャリアデザインワークショップ」では、大学や国公立の研究機関で基礎研究に携わる研究者だけでなく、民間企業で研究や開発を行っている研究者や技術者も積極的に招いて、それぞれの立場から研究現場の様子、研究者の生き甲斐などを話してもらいます。どちらも、質疑応答の時間を十分取るので、直接、話すこともできます。

内 容

「ジュニアサイエンスワークショップ(入門編)」 (ステップ1)
定員:40名 対象:中学1年~高校1年
本年度は、「ジュニアサイエンスカフェ(入門編)」と「実験ワークショップ(入門編)」をそれぞれ3回ずつ、静岡大学で行います。サイエンスカフェというのは、飲み物を飲みながら気軽にサイエンスの話を楽しむイベントのことです。まずは、サイエンスを楽しむということが大切なので、このようなリラックスしたスタイルをとります。最先端のサイエンスのトピックスを、やさしく解説していきます。質問も気軽にしてもらって、知ること、分かることの楽しさを経験してもらいます。実験ワークショップでは、実際に手を動かして実験や観察をしてもらいます。実験科学の基本原理を学ぶ中で、科学に対する興味・好奇心を育ててもらいたいと思います。チューターとして大学院の学生を配置するので、ちょっとした疑問もすぐに聞くことができます。毎回、その日の要約、疑問、感想などを書いてもらい、それをレポートとして提出してもらいます。レポートはコメントをつけて次回に返却します。

開講予定日
・入校式:2010年7月31日(土)13時~16時
・ワークショップ(それぞれ10時~16時)

第1回:2010年10月9日(土) 植物のバイオテクノロジーを体験しよう!

(木嵜暁子 理学部・生物科学科・准教授)

遺伝子組み換え植物を使って、遺伝子がどこで働いているか、どのような働きをしているか、などを調べます。

第2回: 2010年10月23日(土) 二酸化炭素を診てみよう

(サティッシュ クマール 理学部・地球科学科・准教授、宗林留美 理学部・地球科学科・助教)

エコによって悪者になった二酸化炭素。実は地球を知るうえで極めて重要な分子です。この分子が大気や動植物、大地を循環することで、地球が成り立っているのです。二酸化炭素を把握するための実践法を体験してみよう。

第3回:2010年11月6日(土) 光とは何か?- レーザー光の回折実験 -

(岡俊彦 理学部・物理学科・講師)

この講座では、可視光の基本や赤外線や紫外線について簡単な実験をしながら学びます。後半はグループにわかれ波の性質である干渉や回折について、レーザー光をスリットや回折格子に当てて観察します。

・サイエンススペシャルレクチャー
  第1回:2010年7月31日(土)(入校式のオープニングとして開催)
  第2回:2010年11月20日(土)13時~14時 予定
・キャリアデザインワークショップ
  第1回:2010年9月12日(日)13時~16時 予定
  第2回:2010年11月20日(土)静大祭期間中:14時~16時 予定
・テーマ別研究室体験成果発表会 3月5日(土)予定
  (ステップ3の受講生が発表、ステップ1とステップ2の受講生は聴講)
・修了式:2011年3月19日(土)予定

 

「ジュニアサイエンスワークショップ(発展編)」 (ステップ2)
定員:20名 対象:中学3年~高校2年
本年度は、「ジュニアサイエンスカフェ(発展編)」と「実験ワークショップ(発展編)」をそれぞれ5回ずつ、静岡大学で行います。「ジュニアサイエンスカフェ(発展編)」は、基本的には「ジュニアサイエンスカフェ(入門編)」と同じですが、より発展した内容で、歴史や科学の発想に重点を置いた内容です。たとえば、科学の発達の醍醐味を感じられるような科学者のエピソードや科学史などもレクチャーします。「難しい」と思われているサイエンスが意外と素朴な発想から理解できるということを理解して欲しいです。「実験ワークショップ(発展編)」では、まず自分で予想を立てて、それを検証するという体験を通して、科学研究の洞察力を養ってもらいたいと思います。

開講予定日
・入校式:2010年 7月31日(土)13時~16時
・ワークショップ(それぞれ10時~16時)

第1回:2010年8月1日(日) 高等動物の体の成り立ちを調べてみよう

(小池亨 理学部・生物科学科・助教)

マウスの解剖を通じて、体を構成する器官について学びます。また、様々な器官の組織切片標本を顕微鏡で観察し、組織の成り立ちを理解します。

第2回:2010年8月22日(日) 音で地球を診てみよう

(生田領野 理学部・地球科学科・助教、道林克禎 理学部・地球科学科・准教授)

地震学者は物質毎に地震の波の伝わり方が異なる性質を利用して地球内部の構造を解き明かします。本講座では地震波による地下構造推定の原理を実践的に学び、更に人工の地震波を使って地下の状態の時間変化を監視する研究について紹介します。

第3回:2010年9月25日(土) 遺伝子の設計図を解き明かせ!

(丑丸敬史 理学部・生物科学科・教授)

遺伝子(DNA)はどのように生命の設計図となっているのか? 遺伝子が異常になるとどのようなことが起こるのか、細胞内部を最新の顕微鏡を用いて解析します。

第4回: 2010年10月16日(土)原子の出す光の波長測定

(阪東一毅 理学部・物理学科・助教)

この講座では、前半は原子が光を出す仕組みや蛍光灯の原理などを学び、後半はグループにわかれて実際に分光器を使って、いろいろな原子の出す光を波長に分解して観察します。

第5回:2010年11月27日(土)閉曲面をめぐってーポアンカレ予想が出てきた理由は?

(小山晃 理学部・数学科・教授)

クレイ数学研究所のミニレアム問題の1つであるポアンカレ予想が解決され、その顛末はペレルマンの生き方を含め世の中を賑わしました。ここでは、その予想の背景をオイラー数による閉曲面の分類との関わりから読み解いていきます。

・サイエンススペシャルレクチャー
  第1回:2010年7月31日(土)(入校式のオープニングとして開催)
  第2回:2010年11月20日(土)13時~14時 予定
・キャリアデザインワークショップ
  第1回:2010年9月12日(日)13時~16時 予定
  第2回:2010年11月20日(土)静大祭期間中:14時~16時 予定
・テーマ別研究室体験成果発表会 3月5日(土)予定
  (ステップ3の受講生が発表、ステップ1とステップ2の受講生は聴講)
・修了式:2011年3月19日(土)予定

 

「ジュニアサイエンスワークショップ(テーマ別研究体験)」 (ステップ3)
定員:10名 対象:高校2~3年
本年度のテーマは次の5つです。この中から、自分がしたいテーマを選び、大学の研究室でテーマ研究を行います。内容の発展性と意欲に応じて、途中で他のテーマを展開していくことも可能です。合計で10日間をかけて行い、実際の研究の様子を体験します。活動日は、長期休業(夏期、冬期、春期)や土日祝日などですが、具体的な日程は担当教員ごとに異なります。課題はどれもオリジナルなものなので、世界で初めての発見につながるかも知れません。心配もあるでしょうが、大学院学生や卒業研究の学生をチューターに配して、相談しやすいようにします。レポート作成の指導も行います。レポートは冊子としてまとめ、研究成果は市民参加型の公開発表会で発表してもらいます。このような取組を通じて、自らの考えを文章にまとめる能力と相手に伝えるコミュニケーション能力も養ってもらいます。課題をすべて修了し、論文(レポート)を提出した者には「フューチャー サイエンティスト認定証」を授与し、特に熱心に取組み良い成果を出した受講生には、高校生の発表の場を持つ学会や研究会への出席の道もあります。

開講予定日
・入校式: 2010年7月31日(土)13時?16時
・ワークショップ(以下の5テーマです)
  開催日時は、入校式の日に、担当教員と受講生で相談して決めます。

テーマ1:面積と体積

(小山晃 理学部・数学科・教授)

私たちユークリッド幾何学の世界で何気なく使っている面積の求め方を見直し、「面積とは何か」について反省する。さらに多面体について数量的体積の概念を見てみる。目標は面積と体積の本質的な相違を問うたガウスの問題・ヒルベルトの第3問題に対するデーンの解決を理解することである。

テーマ2:X線で見る酸化物超伝導体

(嶋田大介 理学部・物理学科・准教授)

この講座では、同じ条件で酸化物超伝導体を作り、電気炉で焼く条件を変えていくつかの試料を作ります。それぞれの試料のX線回折実験や電気抵抗の温度変化を測定し結果の違いを比較します。

テーマ3:遺伝子組み換えで遺伝子の働きを調べる

(瓜谷眞裕 理学部・化学科・教授)

生命の設計図である遺伝子は、デオキシリボ核酸(DNA)という物質です。ここでは、DNAの研究法の基礎を学びます。また、DNA組換え実験により、目的タンパク質にGFP(緑色蛍光タンパク質)が融合したハイブリッドタンパク質を酵母に作らせて蛍光顕微鏡で観察することで、GFPの蛍光により、そのタンパク質が細胞のどの部分にあるのかを調べます。また、機能喪失型の変異株を作りだして、その遺伝子の働きを調べます。

テーマ4:神経行動学入門:動物は何を感じ・何を考え・どのように動くのか?

(竹内浩昭 理学部・生物科学科・准教授)

カラス,ヒヨコ,アホロートル(メキシコサンショウウオ)などを対象とした観察や実験を通じて、動物が何を感じ・何を考え・どのように動くのかを調べる神経行動学研究を体験してもらいます。

テーマ5:古代生物を診てみよう

(鈴木雄太郞 理学部・地球科学科・講師)

太古の生物のふるまいを解明する鍵は、化石に残された「かたち」が生物としてどのように作用するのか?を理解することにあります。「生きた化石:オウムガイ」を題材に、生物の“かたち”に秘められた“動き”を紐解く古生物学を体験してみよう。

・サイエンススペシャルレクチャー
  第1回:2010年7月31日(土)(入校式のオープニングとして開催)
  第2回:2010年11月20日(土)13時~14時 予定
・キャリアデザインワークショップ
  第1回:2010年9月12日(日)13時~16時 予定
  第2回:2010年11月20日(土)静大祭期間中:14時~16時 予定
・テーマ別研究室体験成果発表会 3月5日(土)予定
(ステップ3の受講生が発表、ステップ1とステップ2の受講生は聴講)
・修了式:2011年3月19日(土)予定

 

「プレスクール企画」
定員:限定せず 対象:小学生・中学生
本年度は、「サイエンスキッズ実験教室(対象:小学生~中学生)」と「プレ・サイエンスワークショップ(対象:小学5・6年~中学生)」をそれぞれ2回ずつ(1回は静岡大学でもう1回は静岡県東部または西部地区で)行います。「サイエンスキッズ実験教室」は、サイエンスワークショップへの誘導を兼ねたサイエンスへの入門的な企画で、学校では体験できない先端科学に触れる内容を行い、意欲・興味を引き出すことを目指します。遺伝子(DNA)を身近な食品(ブロッコリーなど)から実際に取り出す実験や身近な道具を利用した物理実験などを展開し、遠いところにあるサイエンスが、身近にあるという体験をすることを目指します。「プレ・サイエンスワークショップ」は、「サイエンスキッズ実験教室」と同様、サイエンスワークショップへの誘導を兼ねたサイエンスへの入門的な企画です。ここでは、少し難しい理論も盛り込むことで、卓越した意欲と能力を持った児童生徒をさらに刺激することを目指します。

開講予定日
サイエンスキッズ実験教室(1)
  2010年8月21日(土)11:00~16:00 沼津市民文化センター 第2練習室
  1.レーザー光やLEDを使った光の実験
  2.味覚の不思議を体験しよう - ミラクルフルーツ -
  3.色の変わる不思議な液体 - 台所のサイエンス -
  4.数学(算数)の実力検定
プレ・サイエンスワークショップ(1)
  2010年10月2日(土)11:00~15:30 浜松科学館 講義室
  1.音の実験
  2.ブロッコリーから遺伝子を取り出してみよう
  3.数学(算数)の実力検定
サイエンスキッズ実験教室(2)
  2010年11月20日(土)時間は未定 静岡大学理学部
  1.なんの化石かな
  2.この木なんの木?
  3.放射線を見てみよう、止めてみよう
プレ・サイエンスワークショップ(2)
  2010年11月21日(日)13:00~16:00(時間変更の可能性有り)静岡大学理学部
  1.なんの化石かな
  2.音の実験
  3.数学検定・算数検定
 


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