2019年度版 静岡サイエンススクールを知る

目 的

 天然資源に恵まれない日本が、豊かな社会を維持し発展させるためには、高度な科学・技術とその能力を発揮できる科学者の育成が欠かせません。静岡県を含む中部・東海地方は先進的なものづくりが盛んなど、科学・技術に関心の高い地域です。これまでにも、優れた科学者・技術者が育っていますが、科学・技術がますます重要視される時代にあって、さらに多くの優秀な人材を育てることが大きな課題でしょう。そこで、静岡大学では、未来の科学者を養成するための講座として、「地域で育む未来の科学者 - 静岡サイエンススクール -」を、2010(平成22)年度から開くことにしました。理科や数学が大好き、実験や観察がとても楽しい、将来は科学者になるのが夢、そういう意欲と才能を持つ中学生・高校生を静岡県の内外から広く受け入れ、先端的な科学プログラムを含むサイエンスに関するさまざまなプログラムを継続的に受けてもらうことで、才能を開発して、未来の有能な科学者として育ってもらうことが目的です。

概 要

 先端科学のトピックの解説をする「ジュニアサイエンスカフェ」と、実際に実験・観察をする「実験ワークショップ」の二つからなる、「ジュニアサイエンスワークショップ」が主なプログラムです。学年や発達段階にあわせて、「ジュニアサイエンスワークショップ」には、入門編(ステップ1)、発展編(ステップ2)、テーマ別研究体験編(ステップ3)の3ステップが用意してあります。学年が上がるにつれてステップ1、ステップ2、ステップ3へと上がっていく仕組みです。
  入門編(ステップ1)と発展編(ステップ2)では、それぞれ年間3〜5回と5〜8回、静岡大学に来校して「ジュニアサイエンスカフェ」と「実験ワークショップ」を行います。その日の内容の要約、発展的に調べたこと、疑問、感想などをレポートにまとめます。レポートは評価をつけて返却されます。優秀な受講生は表彰され、次のステップへの受講資格が与えられます。テーマ別研究体験編(ステップ3)では、年間10回ほど静岡大学に来校して研究室毎に異なるテーマで研究を進めていただきます。
  この他に、一流の科学者による講演会「スペシャルサイエンスレクチャー」と、大学や民間の研究所で活躍している若手研究者による「キャリアデザインワークショップ」も行います。「スペシャルサイエンスレクチャー」では、研究内容に加えて、発見や発明に至った経緯やエピソード、研究に対する姿勢、科学者になった動機、生き方などを語ってもらいます。「キャリアデザインワークショップ」では、大学や国公立の研究機関で基礎研究に携わる研究者だけでなく、民間企業で研究や開発を行っている研究者や技術者も積極的に招いて、それぞれの立場から研究現場の様子、研究者の生き甲斐などを話してもらいます。どちらも、質疑応答の時間を十分取るので、直接、話すこともできます。

 

ステップ1:2019年度の新規募集はありません

ステップ2:2019年度の新規募集はありません

ステップ3:2019年度の新規募集はありません

 

サマープログラム 2019年8月17日(土), 18日(日)

「サイエンスワークショップ 8/17(土)」受講希望者は、申込みサイト からオンラインで申込みください。申込み多数の場合は、先着順で受け付け、定員を超えたところで受け付けを終了させていただきます応募締切:8月9日(水)12:00です。
「プレ・サイエンスワークショップ 8/18」のみの参加を希望される方は事前申込不要ですが、会場の都合で当日参加できない場合がありますので、予めご了承ください。

 

サイエンスワークショップ 2019年8月17日(土) 10:00-16:00

 講義と実験がセットになったもので、やや発展的な内容のものです。対象学年は小学生以上で、定員は40人(事前申込制)です。今回は、JST-GSC「未来の科学者養成スクール(FSS)」,JASC静岡支部と共催で実施します。

 

身のまわりのミクロ宇宙 - あなたのスマホが顕微鏡に変身? - ?

(永山國昭@Life is small. Company

静岡大学FSSは、「つなげる力」の養成に主眼を置いたプログラムです。何をつなぐのか。どのようにつなぐのか。いろいろな局面でつなげる力が問われますが、この講演は空間をつなぐお話です。空間をつなぐ仕方には横と縦の2つがあります。横につなげる例としては、空間を移動する旅行が代表でしょうか。縦につなぐのは山登りもありますが、スケールの大きさを旅するつなぎ方も重要です。大は銀河から小は原子まで、私たちは異なる大きさ(スケール)でできた階層的世界のほぼ真ん中に生きています。縦に空間を旅するためにどこかに行く必要はありません。今この場所ですぐに行けます。エッと思うでしょうが、身のまわりの世界がそれです。あなたのスマホを顕微鏡に変身させ、すぐにミクロ宇宙探検の旅に出かけましょう。
  スマホ顕微鏡は、350年前の極小顕微鏡を最先端のモバイル機器につなげることで、5年前に私が発明しました。スマホ顕微鏡、一般にはモバイル顕微鏡と呼ばれています。過去数多くのモバイル顕微鏡モデルを開発しましたが、その中でも汎用性のある3つのモデルを用い、身のまわりのミクロ、たとえば髪、皮膚、布、花、葉、微生物などを観察します。普段気づかない驚くべき映像世界がそこに広がっています。まず30倍反射型(写真1)でモバイル顕の使い方を習います。次に200倍透過型モバイル顕(写真2)で、葉の気孔、蝶の足や燐粉、そして動き回る微生物などを見てみます。最後に教室を出て何でもその場で拡大できる30倍モバイル顕(写真3)でミクロの探検をしてもらいます。スマホ顕微鏡は、薄くて小さなスマートデバイスですが、ミクロ世界に息づく小さな生き物や微粒子を身近にする力を秘めています。ミクロ世界を拓く顕微鏡を、いつでも、どこでも、だれにでも手軽に扱えるようにしたのがスマホ顕微鏡です。このワークショップでは、ご自身のスマホやタブレットを用いてご自身の手と目でミクロ世界を探検してもらいます。顕微鏡特有の難しい操作はなく、スマホやタブレットを扱える人なら誰でも、子供から大人まで気軽に参加できます。
  特に最後の探検では、グループを組み同一対象のミクロとマクロの写真を撮り、ミクロ世界とマクロ世界の間のギャップを発見します。そのギャップの面白さをグループごとに話し合い、イチオシのミクロ・マクロペアー写真を選び発表してもらいます。驚きと飛躍のある作品をみんなで楽しみながら、階層をなすこの世界を実感しましょう。
写真1
写真2
写真3

 

 

プレ・サイエンスワークショップ 2019年8月18日(日) 10:00-16:00

 やややさしい内容の科学教室です。実際に簡単な実験・観察・考察を体験することで自然科学に興味を持ってもらうことがねらいです。いくつかのブースを廻ってもらいます。ブース当たりの所要時間は20分から30分程度です。定員は約80人(事前申込不要)。小学校5年生でも理解できる程度の内容ですが、大人でも楽しめます。中高生や保護者・学校関係者の参加も歓迎します。

 

「音や光の実験」

(嶋田大介@静岡大学理学部物理学科と大学院生)

音の共鳴実験、超指向性スピーカー・骨伝導スピーカーの実験、光の回折・赤外線を見る実験・紫外線を使って物を見る実験など。

「酵母の秘密を教えます - 発酵の仕組み -」

(瓜谷眞裕@静岡大学理学部化学科と大学院生)

パンやお酒に欠かせない酵母は私たちの食生活だけでなく、生命科学の発展に大きく貢献もしてきました。そんな酵母についてのやさしい話と培養と発酵についての簡単な実験を行います。

「チリメンモンスターで生き物の多様性を実感しよう」

(竹内浩昭@静岡大学理学部生物科学科と大学院生)

「チリメンジャコ」にはカタクチイワシの稚魚だけでなく、いろいろな魚やタコ・イカ・エビ・カニなどの子どもが含まれます。これらの姿・形を虫眼鏡で観察し、海に棲む生き物の多様性を実感してもらいます

「地球の中はカチカチ?ドロドロ?」

(生田領野@静岡大学理学部地球科学科と大学院生)

地球の山や海などの地形はどうやってできるのでしょう?それは地球の中の岩石の性質に関係しています。スライム作りを通して実感してみましょう。

 

 

オータムプログラム 2019年11月17日(日)

プレ・サイエンスワークショップ 2019年11月17日(日) 10:00-16:00

 やややさしい内容の科学教室です。実際に簡単な実験・観察・考察を体験することで自然科学に興味を持ってもらうことがねらいです。8月19日(土)の10:00〜12:00と13:00-16:00を予定しています。いくつかのブースを廻ってもらいます。ブース当たりの所要時間は20分から30分程度です。定員は約80人(事前申込不要)。小学校5年生でも理解できる程度の内容ですが、大人でも楽しめます。中高生や保護者・学校関係者の参加も歓迎します。

 

「液体に沈む氷?!〜浮き沈みの謎〜」

(大学院学生・物理学コース)

なぜ物が水に沈む、浮くのか、ということを考えたことはあるでしょうか?「密度」を身の回りのある物を用いて感じてみましょう。クイズもあるので是非参加してみてください。

「コップと水の不思議な関係」

(学部学生・創造理学コース)

身近にあるものにも沢山不思議なことは隠れています。そのなかでも今回は水とコップの間にあるいくつもの奇妙な繋がりのうち二つを紹介します。

「1本のペンでカラフルなしおりをつくろう」

(大学院学生・生物科学コース)

ペーパークロマトグラフィーの原理を使うと、水性ペンに含まれているインクを分離することができます。ろ紙を利用して黒色水性ペンのインクを分離することで、カラフルな模様をつくってみましょう。

「人間の目はすごい!?」

(学部学生・創造理学コース)

人間の目は、色や細かい動きなどを感じることが出来て優れていると思いきや、実はとても鈍感で不器用なところもある!?そんなことを、三つの実験を通して感じてみましょう!!

「身近な生き物の行動のふしぎ 〜 ダンゴムシが迷宮に挑む! 〜」

(大学院学生・生物科学コース)

動物行動学は生き物の行動の謎を調べる学問です。果たしてダンゴムシは超難関迷路を無事にゴールできるのか...? 身近だけど知らなかった生き物の行動を観察して、そのふしぎさ・面白さを実感しよう!